山形地方裁判所 昭和４５年（わ）５７号 判決 1970年6月01日
所在地
山形市本町一丁目九番六号
株式会社 東北丸正
右代表者代表取締役
本間政明
本籍
山形市八日町一丁目七四三番地
住居
同市同町一丁目三番四八号
会社役員
尾形貞
明治三七年七月一一日生
本籍
山形市城西町一丁目三三番地の八
住居
同市同町一丁目三番二六号
会社役員
本間政明
大正四年一二月一五日生
本籍
山形市薬師町二丁目西三九番地の内一号
住居
同市同町二丁目一五番一四号
会社役員
森谷森雄
大正七年六月七日生
右の者等に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官梅村進出席の上、審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告株式会社東北丸正を罰金二〇〇万円に、被告人尾形
貞、同本間政明、同森谷森雄を各懲役三月に処する。
但し、被告人尾形貞、同本間政明、同森谷森雄に対し、
この裁判確定した日からいずれも二年間右刑の執行を猶
予する。
理由
（罪となるべき事実）
被告株式会社東北丸正は、山形市本町一丁目九番六号に本店を置き、小間物雑貨類等の卸売を営むもの、被告人尾形貞は同会社の代表取締役会長として同会社の業務全般を総括し、被告人本間政明は代表取締役社長として同会社の対外折衝ならびに経理伝票の決裁等を担当し、被告人森谷森雄は専務取締役として同会社の仕入、経理面の指導監督を担当していたものであるが、同会社の新店舗を建築する資金を捻出するため、右被告人尾形、同本間、同森谷は共謀のうえ、同会社の業務に関し法人税を免れようと企て
第一、昭和四二年六月一日から同四三年五月三一日までの事業年度において、所得金額が四、三六七万九、〇〇四円で、これに対する法人税額が一、四七八万二、一〇〇円であるのにかかわらず、架空仕入の計上、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ、昭和四三年七月二三日山形市大手町一番二三号所在山形税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二、四七四万四、七二五円で、これに対する法人税額は八一六万二、一〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により右事業年度の法人税額六六二万円を免れ
第二、昭和四三年六月一日から同四四年五月三一日までの事業年度において、所得金額が四、八九七万三、一四三円で、これに対する法人税額が一、六一九万一、六〇〇円であるにもかかわらず、架空仕入の計上、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ、昭和四四年七月三一日前記山形税務署において同税務署長に対し、所得金額が二、二五五万二、七八六円で、これに対する法人税額は六九五万一、九〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、右事業年度の法人税額九二三万九、七〇〇円を免れたものである。
（証拠の標目）
判示全部の事実につき
一、被告株式会社東北丸正代表者代表取締役本間政明、被告人尾形貞、同本間政明及び同森谷森雄の当公判廷における各供述
一、被告人尾形貞の検察官に対する昭和四五年四月六日付二通（証拠調請求順序59、63）及び収税官吏に対する同年九月一七日付質問てん末書
一、被告人本間政明の検察官に対する昭和四五年四月七日付供述調書（前同69）及び同人の収税官吏に対する昭和四四年九月一七日付質問てん末書
一、被告人森谷森雄の検察官に対する昭和四五年四月二日付（前同84）、同月四日付、同月一〇日付、同月一一日付各供述調書同人の収税官吏に対する昭和四四年九月一七日付、同月一九日付、同年一〇月一六日付（前同79、89）、同年一一月一〇日付同年九月一八日付、同年一〇月一五日付、同月九日付、同月一七日付、昭和四五年一月一二日及び同月二〇日付各質問てん末書並びに両人作成の昭和四四年一〇月一六日付上申書
一、森谷森雄と本間喜代子の作成にかかる上申書
一、森谷森雄と叶内千代子作成にかかる上申書二通
一、羽角幸子作成の昭和四四年九月一八日付（前同５）、同月一九日付作成の各上申書、同人の収税官吏に対する質問てん末書二通
一、収税官吏塚原俊夫作成の銀行調査書
一、収税官吏阿部真一作成の株式会社東北丸正の架空仕入調査書
一、収税官吏塚原俊夫作成の簿外預金等（受取利息を含む）調査書
一、収税官吏阿部真一作成の脱税額計算書二通、同人作成の未納事業税額計算書二通及び同人作成の脱税額計算書説明資料並びに同人作成の告発書
一、押収してある普通預金通帳八通（昭和四五年押第二四号の一ないし五、七ないし九）、会計簿一冊（同号の六）、金銭出納帳二冊（前同の一〇、一一）、法人税確定申告書二冊（同号の二〇、二一）
（法令の適用）
判示各所為につき
被告株式会社丸正に対し
法人税法七四条一項二号、一六四条一項、一五九条一項
被告人尾形貞、同本間政明、同森谷森雄に対し
同法七四条一項二号、一五九条一項、刑法六〇条
併合罪につき、全員に対し
刑法四五条前文、四七条本文、一〇条（判示第二の罪の刑に法定の加亘）
被告人尾形貞、同本間政明、同森谷森雄に対する執行猶予につき刑法二五条一項一号
（裁判官 阿部哲太郎）